上映会事例(団体/個人主催編)

主催者:わんオフさま(「『性別』にモヤモヤ」する方を対象にしたオフ会プロジェクト。主に関西で開催しており、スタッフは主催の紺野薫ひとり。映画上映会は初めての試みでした。)

日時:2020年2月

上映形態: 午前の部、午後の部と2回行い、いずれも映画上映の後に交流会を行いました、

(午前の部は「映画好き」を対象、午後は「性別にモヤモヤ」している人を対象)いずれも、ワークシートに感想をメモしながらご覧いただきました。

午前は映画の感想交流会、午後は映画に「共感できたこと」「できなかったこと」を中心に交流しました。午前午後、併せて21名の方にお越し頂きました。

Q開催するきっかけは?

ただ単に「私が見たかったから」です。

毎週水曜日はだいたいミニシアターにいて、朝・昼・晩と1日3本の映画を見るほど映画好きです。特にドキュメンタリー映画はテーマ問わず何でも見るほど好きですが、「男でも女でもない」「Xジェンダー」を扱った映画にはお目にかかった事がほぼありませんでした。

そんな折、映画のことを知りました。関西での上映予定もしばらくなさそうだったので「自分で上映会をやっちゃおうかな…?」と思い、会場も予約できたため開催を決めました。ワークショップをくっつけた映画上映会の主催は、「映画好きのイベンター」としても悲願でもありました。

Q上映会を開くにあたって一番大変だったことは?それをどう乗り越えましたか?

ターゲット層を考えたり、当日の進行を考える事ですね。

わんオフ!は「性別にモヤモヤ」する人を対象にしたプロジェクトですが、本当にその人たち「だけ」をターゲットにしていいのか?と悩みました。

この映画、「京都初上映」だったんです。だからこそ、幅広い層に見てほしいし、そう仕掛けるべきだと思いました。

だからこそ、「性別にモヤモヤ」する人以外にも見てほしくて、当初の予定を変更して「午前」「午後」の2部構成に変更しました。

次は、当日の司会進行です。通常のわんオフ!は定員10名という小規模なもので私が司会進行を行いますが、今回は定員25名という大規模なもの。ひとりひとりが話す為には、4名くらいのグループ分けをする必要がありました。スタッフは私ひとりのため、全てのテーブルに目を配る事は不可能。そのため、司会がいなくても意見交換がうまくまわる仕組みを作る必要がありました。「司会がいなくても、初対面同士がうまく話せる仕組み」。かなり骨が折れましたが、イベンターとしてだいぶ鍛えられたと思います。

Q一番大変だったことは?

機材トラブルでしょうか。

会場(備え付けのDVDプレイヤー)で再生チェックをしたところ、なぜか映らない。会場にあるのと同じメーカーの再生機器が家にあり、それでは無事に映ったのに、家にあるすべてのDVDプレイヤーで再生できたのに、なぜか会場の再生機器で映らない…。あまりに原因不明で、施設の方と右往左往していました。何がマズいって、それが発覚したのが映画上映会約1週間前のことでした。

時間も迫っており、一時は会場の機材が使えないことを覚悟しました。ならば会場の大型テレビを使おうと、自宅から「確実に再生できる」DVDデッキを持ち込もうと考えたのが、上映会の3日前のこと。仕事帰りに施設に寄って再生チェックをしないと時間がなかったので、大きな鞄にDVDデッキを詰め込んで出社しました(笑)結局、公式さんに様々な媒体の映像媒体を送っていただき、Blu-rayで無事に再生できました。再生確認できたのが、映画上映会2日前…本当にギリギリでした。

Q上映会を開いて一番よかったことは?
色んな方に助けられ、またお声がけいただいたことでしょうか。

わんオフ!は私ひとりで運営するプロジェクトです。私ひとりで全ての手続・準備・広報を完結できる見込みがあったため開催を決めました。

しかし蓋をあけると、ひとりでは完結できず、色んな方に支えた上映会でした。

映画上映会は、私の想像以上に大掛かりなものだったのです。

ポスターを作ると立候補くださった方、宣伝を私以上にやってくださった方、心配そして応援いただいた方、ご来場いただいた方、会場スタッフさん、映画の公式さん、励まして下さった常井監督。振り返れば、多くのヒトの力を借りて当日を迎えたのでした。

ひとりでは完結できなかった。

でも、それで良かったのかもしれない。

誰かの力を借りることも、いいことなのかもしれない。

そう思えたことが、「上映会を開いて一番よかったこと」ですね。

Q参加者からの声はいかがでしたか?
①(映画について)

本当に本当に、参加者様によって共感できる・できないポイントがバラバラですね。

例えば空雅さんが履歴書の性別欄を空欄にして出すシーンひとつとっても、「わかる」「バイトに落ちたのは、本当に性別欄が空欄だから?」「そこは戸籍の性別にあわせたほうがいいのでは」と様々な意見があがりました。

さまざまな意見が出来ることは想定内でしたが、ここまで多様とは…それだけに、ファシリテーションをしていて本当に刺激的でした。

②(映画上映会の開催について)

NHK地上波の放送があったこともあり、既に映画のことをご存知の方は多かったです。ふだん「わんオフ!」にご参加いただく方以外のお申込もあり、この映画に対する関心の高さが伺えました。会場入り口に掲示していたフライヤーをご覧になった方が「当日券ありますか」とお声がけいただいたこともありました。

Qいま上映会を振り返って思うことは?

本当に怒濤の日々だったな…と思います。映画上映会の開催は初めてだったので、慣れない事ばかりでした。

特に印象的だったのが、会場予約でした。「京都市」で「映画上映の出来る」「格安の施設」は、3ヶ月後であっても一瞬で埋まっていきます。一番安いところは予約が取れず、ほかの施設の予約をしたのですが、審査が必要で。始めて半年程度のプロジェクトだったため、「通るかどうか五分五分」と言われており、稟議書を何回も何回も書き直したり…

それまでの「わんオフ!」は10人程度の小規模なオフ会でした。映画上映会は、必要経費や動員人数も桁違いに大きく、こういった稟議書も初めてでした。それだけに、「どんな人に来てほしいか」「わんオフ!として何を参加者さんに伝えたいか」を真剣に考えるキッカケにもなりました。

Qこれから上映会を開く方にアドバイスは?

見る方によって、共感できる部分・できない部分がハッキリ別れる映画だと思います。共感できないにしても、「なぜ共感できないか」を掘り下げて考える意義はあると思います。

かなり前に公式さんがツイッターで「公式個人の意見ですが、♯性別ゼロに関しては『これってホントにいい話なの?』という違和感を持つ事も結構重要だと思います。」と呟かれており、まさにそういうことだと思います。正直な話、私も主人公さんの価値観・生き方に100%同感しているわけでもありません。

「自分は男なのか女なのか、どちらでもないのか」。心のうちは、誰にも見えません。だからこそ、それぞれ考える価値がある。この映画は、その「考えるキッカケ」を与えてくれるのだと思います。

https://gamp.ameblo.jp/konnnokaoru/entry-12623699353.html?__twitter_impression=true

その他これまで、上映をくださった団体様

TWFF、むしめがねの会(シゲせんせー)、多様性を目指す教員の会

NPO法人JASHイベント事業部Queer&Ally、任意団体lag、

SDGsえどがわ、経王寺、なごみ邸、日本家族カウンセリング協会など

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